就労義務との向き合い方

生活保護を受けながら起業を考えることは、決して「わがまま」でも「非常識」でもありません。
日本国憲法に明記された「職業選択の自由」は、生活保護受給者にも認められた権利です。
このページでは、就労指導の対象になるかどうかによって変わる起業準備の自由度と、立場別の具体的な行動指針について詳しく解説します。

生活保護と起業の関係、まず知っておきたい前提

生活保護を受けながら起業を考える――

それは決して“わがまま”でも“非常識”でもありません。

日本国憲法には「職業選択の自由」が明記されており、生活保護を受けているからといって、自営業やフリーランスの道が閉ざされているわけではありません。制度上も、それは認められた権利です。

ただし、そこにはいくつかの“分かれ道”があります。 特に大きなポイントになるのが、「就労指導の対象になっているかどうか」。

生活保護には、健康上の理由などで働けない方だけでなく、何らかの事情で一時的に支援が必要になった方も含まれています。そして、その立場の違いによって、受ける指導や求められる行動が変わってきます。

たとえば、医師の診断によって「就労は困難」と判断されている方は、就職活動を免除されており、比較的自由に“起業準備”を進めることができます。 一方で、健康状態に問題がなく「働ける」と判断されている方は、アルバイトや就職活動など、就労に向けた具体的な行動が求められることになります。

このページでは、そうした立場の違いを踏まえて、自分がどこに該当するのかを整理しながら、「どんな起業準備ができるのか」を考えるための道筋をご案内します。

“就労指導”とは何か？受ける人と受けない人の違い

生活保護を受けると、「就労指導」という言葉を耳にすることがあります。 これは、働ける状態にあると判断された方に対して、「まずは就職を目指しましょう」という指導や支援が入る仕組みです。

言い換えれば―― 「今のあなたは働けるはずだから、支援だけに頼らずに、まずは就労を目指してくださいね」という制度側からのメッセージとも言えます。

一方で、「就労指導が入らない人」もいます。 たとえば以下のようなケースです：

医師の診断書に「一般就労は困難」と書かれている

長期にわたって治療が必要な精神疾患などを抱えている

一時的に症状が重く、安定した通勤や勤務ができないと判断されている

このような方には、福祉事務所から就職活動を強制されたり、アルバイトを求められたりすることは基本的にありません。 そのため、比較的自由に自宅での起業準備やスキル学習に取り組むことができます。

反対に、医師から特に制限が出ていない場合や、「働けます」と診断されている場合は、定期的な就職活動の報告や、アルバイトを求められることになります。 この場合、就労指導を受けながら、限られた時間の中で起業準備を進める必要があります。

あなたはどのタイプ？3つの立場別・行動指針

生活保護を受けながら起業を目指すとき、最初に確認しておきたいのが、
「自分は就労指導の対象かどうか」という点です。

制度の仕組み上、受給者は大きく3つのタイプに分かれます。 この違いによって、できること・すべきこと・おすすめの戦略が変わってきます。

以下に、それぞれの特徴と進め方のヒントをまとめました。

🟦 Aタイプ｜医師から「一般就労は困難」と診断されている人

• 就労指導：原則なし
• 起業準備の自由度：高い

このタイプの方は、比較的自由に自分のペースで起業準備に取り組むことができます。 「力を貯めて一気に抜ける」戦略を選びやすく、時間や体調を見ながら、信用や技術、実績を丁寧に育てていくことが可能です。

🟨 Bタイプ｜診断書はないが、働くことに強い不安や困難がある人

• 就労指導：グレー（状況による）
• 起業準備の自由度：中〜低（交渉次第）

たとえば、通院はしているけれど診断書には「就労不可」とまでは書かれていない。 でも実際には、外に出るのもつらい、就職活動は現実的に無理―― そんな状態の方も少なくありません。

このタイプの方は、「どう伝えるか」「どんな診断がもらえるか」によって、動ける範囲が大きく変わります。 B型作業所の活用や医師との相談によって、就労指導を回避できる可能性もあります。

🟥 Cタイプ｜健康と判断され、就労指導が入っている人

• 就労指導：あり（アルバイトや求職活動が求められる）
• 起業準備の自由度：低（制度的制約あり）

このタイプの方は、制度上「働くこと」が前提になります。 そのため、「準備のために働かない」という選択は認められません。

しかし、制度に真正面から向き合い、事業計画を提示して承認を得ることで、就労指導を回避または緩和し、自営として活動を認めてもらえる可能性があります。 これは抜け道ではなく、生活保護制度の申請主義に基づく正攻法です。

もちろん、この方法はスピード勝負。 短期間で、現実的かつ安定的な収益を示せる計画を整え、福祉事務所に納得してもらう必要があります。 ハードルは高いですが、その分承認されれば、起業準備に集中できる環境を得られるのです。

このサイトでは、不正を勧めることは一切ありません。 その上で、就労指導のある方にも「制度の内側から挑戦する道」があることを、誠実にお伝えしていきます。

仮病や不正に頼らず、自分に合った道を見つけるために

起業を考え始めると、つい「自由に動ける立場のほうが有利だ」と思ってしまうことがあります。

だからこそ――

• 「仮病を使えば自由になれるんじゃないか」
• 「診断書さえ取れれば、就労指導を回避できるんじゃないか」

そんな気持ちが頭をよぎることもあるかもしれません。

でも、どうか忘れないでください。 このサイトは、“制度と誠実に向き合いながら、自分の人生を立て直そうとしている人”のための場所です。

確かに、制度にはグレーな運用や、地域差、不透明な判断があるのも事実です。 けれどそれを「抜け道」として使ってしまえば、自分自身の信用を失うことにもつながります。

そして、誠実に積み重ねた信頼こそが、起業という世界で最も強い資産になります。

どんなに才能があっても、信頼を失えばビジネスは続きません。 逆に、誠実な姿勢で制度に向き合っていれば、たとえ今は自由がなくても、確実にチャンスは巡ってきます。

だからこそ、このサイトでは「グレーな手法」ではなく、 あなたの立場の中で“できること”を一緒に探していくことを大切にしています。

次に読むべきページはこちら（あなたのタイプに合った案内）

ここまで読んでくださった方は、
きっと今、自分の立場や状況を少しずつ整理しながら、
「どう進めばいいんだろう」と静かに考えておられるかもしれません。

このサイトでは、それぞれの立場に応じて「起業に向けて今できること」を少しずつ整理し、丁寧に言葉にしています。
無理なく、でも確実に――。
あなたが歩ける道を、一緒に探していけたらと思います。

自分がどのタイプに近いか、もう一度だけ確認して、
あなたに合った入り口から、次のページへ進んでみてください。

🟦 Aタイプ：就労指導なしで、自由に準備ができる方へ

→ 自由な準備期間を活かし、力を貯めて一気に抜ける道を探る

🟨 Bタイプ：診断書はないが、実際には働くのが難しい方

→ 制度と対話しながら、“自分の立場”を整えることから始める

🟥 Cタイプ：就労指導があり、働きながら準備をしたい方へ

→ 制度の中で承認を勝ち取り、“戻らない起業”へ