生活保護下での資金調達と制約

生活保護制度下では、借金は実質「二重返済」となり、貯蓄にも制約があります。
「目的貯蓄制度」という抜け道も存在しますが、実際の活用は限定的です。
このページでは、資金的な制約の中でどう起業を始めるか、お金をかけずに始める方法の重要性について解説します。

借金=実質2倍返済の現実

生活保護制度では、原則として「借金をしてはいけない」とされています。

これは、借入金が生活費として使われた場合、その分を福祉事務所に“過剰支給”と見なされて返還を求められるからです。

しかもその返還は、借金の返済とは別に請求されるため、実質的には「二重返済」になる構造です。

つまり、5万円借りれば、貸してくれた人に5万円返し、福祉事務所にも5万円返す――ということになるわけです。

これは貸した場合も同様で、返済された際には「臨時収入」として認定され、結果として保護費が減額されるリスクがあります。

借りるのも、貸すのも、制度の外では簡単に見える行為が、保護制度の中では“地雷”になりかねないのです。

貯蓄は“明文化されていない”グレーゾーン

生活保護を受けている間、「どれくらいまでなら貯金していいのか?」という疑問は、誰しも一度は抱くかもしれません。

しかし実際には、貯蓄額の明確な上限が制度上に定められているわけではありません。

一定額を超えた時点で即アウト、というルールではなく、実際の判断は「福祉事務所の裁量」に委ねられています。

そのため、ある人は30万円で指摘を受け、ある人は50万円まで何も言われなかった、というようなケースも現実にあります。

ただ共通しているのは、「生活に必要な範囲を超えた資産」と判断されれば、保護の見直しや打ち切りの可能性が出てくるという点です。

金額の大小に一喜一憂するよりも、「これは生活のための預金か?」「使途が説明できるか?」という観点で考えるほうが、現実的なのかもしれません。

“目的貯蓄”という制度上の抜け道?

生活保護制度には、「自立のための目的貯蓄」という、例外的に認められる貯蓄制度があります。

これは、たとえば資格取得や起業準備など、自立に直結する明確な目的がある場合に限り、事前に申請・承認を得ることで積立を認められる制度です。

ただし、この制度にはいくつかのハードルがあります。

まず、「あくまで事前申請であること」――あとから理由をつけても認められることは基本ありません。

さらに、用途は許可された目的に限られ、別のことに使うと違反と見なされるため、使い道の自由度も低く、実用性は高くありません。

制度上は確かに存在しますが、「使える人が限られていて、実際に活用されている例はごくわずか」というのが実情です。

なぜ最初に“お金のかかること”から始めるのか?

これまで多くの人と接してきて、ずっと不思議に思っていることがあります。

それは、起業の話になると、真っ先に「法人を作る」「店舗を構える」「設備を買う」といったお金のかかる行動から始めようとする人が少なくないということです。

生活保護という、資金的な制約のある環境で、それは本当に現実的なのか?――私は疑問に思っています。

保護費は本来、“生活のためのお金”であって、資産形成や事業投資のために支給されているものではありません。

制度の趣旨を考えても、まずはお金をかけずに始められる方法を探すことこそが、起業の第一歩であるべきだと私は感じています。

もちろん考え方は人それぞれですが、「限られた環境の中で、どう工夫するか」を考えることこそが、起業家としての最初の訓練なのかもしれません。